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海水にはなぜ塩分が含まれている?濃度や組成も解説

作成者:プレミアムウォーター
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海はなぜしょっぱいのか、考えたことがありますか?
太古の昔、生命は海から誕生しました。私たち人間だけでなく、植物や動物、昆虫、あらゆる生き物にとって、水は必要不可欠です。表面積の約70%が海水に覆われ、「水の惑星」とも呼ばれる地球。

海に流れ込む川の水は真水なのに、海にはなぜ塩分が含まれているのか?今回はそんな謎に迫っていきます。

そもそも海ってなに?

海が生命の起源といわれるワケ

様々な研究により、海が生命の起源であることはほぼ立証されています。その理由のひとつに、私たち人体の組成と海水の組成が非常に似ていることがあげられます。

海水の成分は、大きく分けると「塩分」と「水分」ということになりますが、細かく組成を見ると、海水には天然の元素90種の全てが含まれています。海水に含まれる90種もの元素のうち、量の多い順から10番目までが人体と海水ではひとつを除いて完全に一致するというのです。
唯一異なるのは、海水の10位「マグネシウム」に対し、人体の10位が「リン」であることだけです。しかし、人体の11位は「マグネシウム」なので、海水との類似性に疑う点はないと言えます。※1

一方で、人体と地表の組成はまったく違うこともわかっており、このことから生命の起源は海にあるとされています。近年では人体の組成に近いものとして人気の高い「海洋深層水」が、飲料や食品、化粧品等で多く利用され、注目を集めています。

海水の塩分濃度ってどれくらい?

海水の塩分濃度と塩分の内訳

塩分濃度とは、水に溶けている塩の量のことを指します。一般的に「塩分」には、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)、炭酸水素塩等も含まれます。

海水の塩分濃度は約3.4%です。
単純に計算すると、海水1ℓの中には、34gの塩が含まれていることになります。この塩の内訳は以下のようになります。

  • 塩化ナトリウム(NaCl)……77.9%
  • 塩化マグネシウム(MgCl2)……9.6%
  • 硫酸マグネシウム(MgSO4)……6.1%
  • 硫酸カルシウム(CaSO4)……4.0%
  • 塩化カリウム(KCl)……2.1%
  • その他……0.3% ※2

ちなみに1番塩分濃度の高いうすくち醤油は約18%、減塩しょうゆでも約9%あるため、海水より醤油の方が断然塩分が高いことになります。※3

海の恵みは多くの生物を支えている

地球をひとつの大きなシステムと考えると、その大部分を占める海は循環の役割を担っています。常に流れがあり、上下左右に循環することによって、気温や気候が変動しているのです。 海の生物は大きく回遊しており、多くの生物たちは生息場所を共有しています。海での生態系の基盤となっているのは植物プランクトンですが、これらは栄養物質が溶けている栄養塩によって生育し、海の生態系を支えているのです。

これに対し、陸上に住む人間は生活に河川の水を使います。
しかし、河川の水は地球上の水全体の0.01%にも満たない量です。河川は海水等から水が蒸発し、雨や雪となって地上に再び戻る循環によって作られます。

このように、海が作る循環は、多くの生物が生きていくための根底を支えているのです。

海域によって塩分濃度は変化する

塩分濃度が変化する仕組み

水には「温度が低い方が重い」「塩分濃度が高い方が重い」という性質があります。表面にある水が冷やされると、下の水より重くなるため下に潜り込みます。この仕組みが地球の海でも起こっており、大きな循環を生んでいます。

つまり高緯度域・極域の海では水が沈み込むことになりますが、全ての海域で起きているわけではなく、北大西洋のグリーンランド沖と南極海の2か所だけでこの現象が起きています。
とはいえ、平均して約2000年もの年月をかけて一巡するというのですから、壮大な循環です。この海の大循環のことを「海洋のコンベアベルト」と呼ばれます。※4

では、なぜ海水が冷たい場所であっても、2か所にしか沈み込みが起こらないのでしょうか。
これには異なる塩分濃度が関係しています。先ほど、海水の塩分濃度は約3.4%と述べましたが、実は海域によって微妙に異なっています。北太平洋の表面塩分濃度は3.41%、北大西洋は3.54%と、北大西洋の方が高いのです。水は塩分濃度が高い方が重いので、北大西洋で海水の沈み込みが起こるという理由もここにあります。※1

この塩分濃度の違いがどのように起こるかというと、貿易風が深く関係しています。大西洋で湿った空気が発生し、それを貿易風が太平洋に運ぶと、北太平洋に雨を降らせます。雨は淡水なので、北太平洋の塩分濃度は低くなります。
一方、北大西洋では水分が蒸発した分だけ塩分濃度が高くなっています。

南極で海水の沈み込みが起こるのは、海水の温度が関係しています。南極海は流氷で覆われていますが、海水が凍るときは真水の成分が凍るという性質があります。そのため塩分の濃い海水が下へ沈み込みます。そのため大量に海水が凍る場所では塩分濃度の高い水ができやすいのです。※5

このように、風や地形等が複雑に影響しあって、海域によって微妙に異なる塩分濃度を生み出しているのです。

海水が層をなす面白い現象も、湖等で見られます。海水と淡水の中間の場所を「汽水」といいますが、日本にも53の汽水湖があります。これは、海水が遡上して水の交換をしているためで、汽水湖では重い海水は下へ潜り込み下層で、塩分濃度の低い水は上層で層を作っています。※6

日本の近海はどうなっている?

日本列島は周囲を海に囲まれていて、北東方向に流れる「暖流(黒潮)」と南西方向に流れる「寒流(親潮)」があり、気候に大きな影響を与えています。

暖流は世界でも大きな海流のひとつで、台湾東方から流れてきます。暖流はその名の通り温度が高く、塩分濃度も高いのが特徴です。一方で寒流は千島列島の東を南西に流れ、三陸沖で暖流と合流します。寒流は温度や塩分濃度が低く、寒流とぶつかった暖流(黒潮)は、太平洋側へ流れ込みます。

このようにして、東北地方より北は寒冷、南へ行くほど温暖という気候の差が生まれています。

昔、海水は酸っぱかった?!

海にはなぜ塩分が含まれているのかという疑問については、海ができた成り立ちから知ることができます。

地球が誕生したのは46億年前。当時地表は1,500℃以上の温度で、液状の水はなかったとされています。地表から水素や塩素、水蒸気等が含まれた多量のガスが噴出して大気を作り、やがて地表の温度が下がると、水蒸気が雨となって降り注ぎました。当時の雨は、塩素ガスや塩酸ガス、亜硫酸ガスが溶け込んだ強い酸性雨で、生物が生きられる環境ではありませんでした。

酸性雨が降って地下に浸透した水は、また地上に噴き出し、それがまた雨となって地表に降り注ぐという循環が、何千年も繰り返された結果、海ができました。

当時の海は「塩酸の海」のため、酸っぱい海だったと考えられています。長い年月をかけて、海中の岩石に含まれるカルシウムや鉄が溶け出したことで、元々は酸性だった海が岩石と化学変化を起こし海水は徐々に酸性から中性へと変化し、現在の海水になったとされています。※1

現代の海は危険にさらされている?!

気の遠くなるような年月をかけて海水は様々な生態系の循環を担ってきました。しかし、海洋汚染が進む現代は、46億年の歴史の中で初めて危機に瀕しています。様々な要因が重なり、海洋汚染につながっていますが、今回は具体的に2点の原因を紹介します。

原因(1) マイクロプラスチック

ひとつめの原因とされている問題は「マイクロプラスチック」です。5㎜以下の小さなプラスチックが海へ大量に流出し、生態系にまで大きな影響を与えています。

マイクロプラスチックは、私たち人間の生活の中で発生しているものがほとんどです。例えば、洗顔料や歯磨き粉のスクラブ剤、捨てられたプラスチック製品が経年劣化によって破砕されて小さくなったものが多く、生活必需品である衣服や自動車のタイヤ、食料の梱包材等も発生源となります。

マイクロプラスチックが問題視されている理由は、分解されるまでに数百年かかるとされているためです。
小さすぎるため回収が難しく、有害性を含む可能性も指摘されており、あらゆる海洋生物が影響を受けています。その海洋生物を食べる人間にも、当然ながら影響があると考えられ、実際に東京湾に生息するカタクチイワシやサバからマイクロプラスチックが見つかっています。

原因(2) 海水淡水化問題

次の問題は、海水を淡水に変えて飲料水にするための「海水淡水化施設」から生じる高濃度塩水です。
飲料水の少ない地域では有効な方法ではありますが、このプロセスでは海水の2倍の塩分濃度の液体が作られるため、そのまま海に戻すと海洋生物が生息できない海域を作ってしまう可能性があります。※9

このように、今回紹介した問題以外にも地球温暖化による海面上昇や海氷面積の減少、酸性雨等の様々な問題が積み重なって、海の危機が目の前まで差し迫っているのです。

海と人間とのつながり

大昔には塩酸だった海水ですが、現在では多くの生命を育み、私たち人間も密接にかかわっています。
そんな海の環境を変えるためには私たち一人一人の意識や行動を変えていくことが大切です。

そして、私たちに今すぐできることは、「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」の「3R」です。つまり、ゴミの総量を減らし、再利用し、再生産するということ。
海が汚れると、海の生物のみならず地球上、全ての生物に影響があると言っても過言ではありません。今日からできる「3R」を心がけ、小さなことから変えていくことを心がけていきましょう。

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