虫歯とは?初期の症状や放置しておくリスクを解説
虫歯は老若男女を問わず、誰もがなり得る身近な疾患です。進行すると痛みだけでなく、見た目が悪くなったり、全身の健康に悪影響を及ぼしたりする等、生活に支障がでてしまいます。
何歳になっても食事を楽しみ、健康的な毎日を送るためには、虫歯を予防し、口腔内を健やかに保つことが欠かせません。そこでこの記事では、虫歯の原因や症状、予防法について解説します。
目次
虫歯とは?
虫歯は世界でもっとも多い疾患であることをご存じでしょうか。※1
日本人にも、治療していない虫歯がある方は多くいます。近年は高齢者の間で虫歯が広がっており、人生100年時代といわれる現代こそ、虫歯を見逃すことはできません。
まず、虫歯とはどのような疾患なのか、原因や特徴を解説します。
虫歯の原因
虫歯とは、口の中の細菌によって作られた酸で歯が溶け、穴が開いてしまう疾患です。私たちの口の中には、普段から様々な種類の細菌が住んでおり、虫歯や歯周病の原因となる菌も存在します。
虫歯を招く代表的な細菌はミュータンス菌です。ミュータンス菌は食べ物や飲み物に含まれる糖分を栄養にし、増えていく特徴があります。では、ミュータンス菌は、どのようにして虫歯を作り出すのでしょうか。
それは、ミュータンス菌が増えるときに放出される、ねばねばとした物質「プラーク」が関係します。プラークは、ミュータンス菌が作り出した乳酸によって酸性になります。その酸性になったプラークの作用で歯の表面のエナメル質が溶けていくのです。※2
この現象を「脱灰(だっかい)」といいます。脱灰が続くと、いずれは歯の表面に穴が開き、虫歯となってしまいます。※2
虫歯を放置しておくと…
初期の虫歯は痛み等の症状を感じにくいため、放置してしまう方も少なくありません。しかし、そのまま放置しておくと、細菌が歯の神経や血管にまで侵入します。すると、我慢できないほどの激しい痛みが出るほか、神経が死んでしまい、細菌が内部で繁殖してしまうケースも珍しくありません。
歯の根っこと繋がっている、あごの骨の内部にまで、細菌が巣を作ることもあります。内部で炎症が悪化すると、歯の症状以外に出てくるのが、顏が腫れる、熱が出る等の症状です。細菌が体中に行きわたり、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。※2
虫歯になりやすい箇所
虫歯になりやすいのは、プラークが付着しやすく、取り除きにくい箇所です。奥歯やしわ、溝等のへこんだ部分、歯肉に近い歯の根元、歯と歯の間が虫歯になりやすいといえます。
虫歯治療の経験がある方は、治療後の詰め物やカバーと歯の間に注意が必要です。加齢とともに歯肉が下がってくると、歯の根も虫歯を患いやすくなります。※2
虫歯になりやすい人
ほとんどの人の口内には細菌がいるため、どのような人でも虫歯のリスクはゼロではありません。虫歯のなりやすさは、歯磨きの習慣や食生活によって変化します。
まず、普段の歯磨きでプラークの除去がうまくいっていない方は、虫歯になりやすいタイプです。次におやつや間食、ジュースを飲む回数が多い方も、虫歯になりやすいといえます。常に細菌へエサを与えているような状況となるため、細菌の活動が活発になってしまうのです。
唾液の量が少ない方も、虫歯になりやすく、悪化しやすいという特徴があります。
唾液の働きは、口の中で細菌や酸を洗い流したり、酸の濃度を薄めたりすることです。歯のエナメル質が溶けただけの段階なら、唾液から歯の成分が取り込まれ、再石灰化という自然治癒現象が起こり虫歯にはなりません。唾液が少ないと、細菌や酸の影響を減らしたり、歯の再石灰化を促したりできないので、虫歯になりやすいといえます。※2
虫歯の特徴
ほとんどの人が、一生に一度は虫歯になります。脱灰から進行し、虫歯になると、自然に治ることはありません。痛みを伴うことも多く、治療が必要となります。
虫歯は子どもに多いイメージですが、大人にも多いという特徴もあります。子どもの頃に虫歯にならなければ、大人になってもならないと考える方もいますが、100%かからないわけではありません。常に虫歯にかかるリスクはつきまといます。
また、自分の歯が残っている高齢の方は、加齢や歯周病によって歯茎が下がる可能性がある点に注意が必要です。歯茎が下がると、歯の根の露出部分が虫歯になることがあります。※1
虫歯の進行と治療法
歯のチェックをしてもらう際、「C0」「C1」等の言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。実はこの「C」は「caries(虫歯)」のことです。虫歯の進行度を表すために「C」の次に数字が付けられます。虫歯の進行度によって治療方法は異なります。
C0
歯の状態
菌の出す酸によって歯の表面が溶け始めた「脱灰」の状態です。初期段階の虫歯に分類されます。歯の再石灰化のみで、自然に治癒できる虫歯のため、治療を必要としません。口腔内のクリーニングを徹底し経過観察します。
C1
歯の状態
歯の表面にあるエナメル質だけが虫歯になった状態です。ざらつきやシミ、小さな黒点等ができますが、痛みはありません。
治療
自然治癒することはありませんが、ごく初期のため、虫歯になった部分を削ってから詰め物をします。エナメル質のみの治療のため、痛みはほとんどなく、麻酔は必要ありません。
C2
歯の状態
虫歯がエナメル質を超えて象牙質まで進行した状態です。象牙質は神経を覆っている組織のため、ここまで進行すると、冷たいものや甘いものがしみたり、痛んだりするようになります。
治療
C1同様、虫歯部分を除去し、削った部分を詰め物や被せ物で保護して治療します。象牙質を削るときに痛みが生じるケースも多いため、C2の治療には麻酔の使用が一般的です。
C3
歯の状態
虫歯が「歯髄(しずい)」と呼ばれる歯の神経まで達した状態です。炎症を起こしており、深く大きな虫歯となっているため、何もしていなくてもズキズキと痛みます。
治療
C3の虫歯の治療法は、歯の状態によって異なります。神経まで達した虫歯の場合、麻酔をして神経を取り除く治療が必要です。歯を残すことは可能で、神経を除去したあとは、歯の根の中を洗浄・消毒をおこなう「根管治療」をして、神経があった場所を閉じます。
神経がまだ生きていれば、神経を抜かずに治療できるケースも少なくありません。昔は悪い歯をすぐに抜いたり、神経を取ったりしていました。近年はできる限り歯や神経を残す方が良いという考え方に変わってきています。
C4
歯の状態
虫歯の末期段階で、歯茎の上に見える部分は崩壊した虫歯です。歯の根だけが残っており、歯髄が完全に蝕まれます。細菌が顎の骨まで侵入すると、痛んだり腫れたりすることがあります。
治療
治療で元の状態に戻すのは困難なため、抜歯をするのが一般的です。抜歯後はブリッジや入れ歯、インプラント等によって、失った部分を修復します。ただし残っている部分が健康な歯質で、歯の根の長さが十分にある場合は、抜歯せずに残すことも可能です。※3
虫歯を予防するには?
虫歯を予防する三大原則は「歯磨き」「食生活」「歯科医院での定期的な受診」です。特に食生活は日常的に注意しましょう。ご存知の通り飲食物に含まれる糖質は、プラークのもととなり、虫歯の原因になります。甘いものは適度にして、食後は必ず歯磨きをしましょう。※4
歯科医院で定期的に検診やクリーニングを受けることも大切です。歯科医師から虫歯の早期発見や治療、予防についてのアドバイスを受けましょう。
唾液も大切な要素です。唾液は、口の中を洗浄し、酸性を中和し、歯の再石灰化を促進する等、虫歯予防に欠かせません。唾液の分泌量が減ると、虫歯が増えることもわかっています。身体が脱水状態になると、唾液の量も減少するため、普段から十分な水分補給を心がけましょう。※5
虫歯を予防して笑顔の毎日を。水分補給も忘れずに
「美人は口元から」という言葉があるように、虫歯は咀嚼機能だけでなく、見た目にも悪影響を及ぼします。虫歯を治療せずに放っておくと、痛みに悩まされるばかりか、全身の健康を損なう恐れもあります。
虫歯予防の基本は「歯磨き」「食生活」「歯科医院への定期的な受診」の3つです。唾液の減少も虫歯を招く可能性があるため、十分な水分補給も重要です。糖分の含まれたジュースやスポーツドリンク等は虫歯のリスクが高まるため、最小限に抑えるように心がけ、虫歯を防ぎましょう。
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参考文献
- ※1 むし歯の特徴・原因・進行|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- ※2 むし歯|歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020(日本歯科医師会)
- ※3 歯内療法とは(一般社団法人日本歯内療法学会)
- ※4 6月4日は虫歯の日~行事食~(特定非営利活動法人日本成人病予防協会)
- ※5 くす通信065号_2004年3月(熊本医療センター)
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