乳糖不耐症とは?赤ちゃんの症状や原因・対策等を紹介

乳糖は赤ちゃんの成長に必要で、母乳や牛乳にも含まれている成分です。乳糖を消化吸収するための酵素の働きが弱いと、下痢等の症状が出ることがあります。「牛乳を飲むとお腹を壊す」という方も多いかと思いますが、これは遺伝的なもので、乳糖を分解する酵素が関係しています。
乳児期は、乳糖を消化吸収するための酵素がよく働くため、母乳やミルクを飲んでも問題ないことが多いのですが、離乳食を始めた頃からだんだんと乳糖を分解する酵素が減っていきます。そのため、下痢の症状が出ることもあるのです。※1
このように乳糖によって下痢等の症状が出ることを、「乳糖不耐症」といいます。この記事では、赤ちゃんの乳糖不耐症について詳しく解説するので、小さなお子さんがいるママ・パパはぜひチェックしてみてください。
目次
- 1. 赤ちゃんや子どもの乳糖不耐症とは?原因や症状は?
- 1-1. 乳糖不耐症の原因
- 1-2. ①先天性乳糖不耐症
- 1-3. ②二次性乳糖不耐症
- 2. 赤ちゃんや子どもの乳糖不耐症の診断
- 2-1. 症状が出たら医師の診断を
- 2-2. 牛乳アレルギーとは異なる
- 3. 赤ちゃんや子どもの乳糖不耐症の対策
- 3-1. ①母乳・ミルクをやめてみる
- 3-2. ②ラクトレスのミルクに変えてみる
- 3-3. ③乳糖分解酵素剤を飲む
- 3-4. ④ヨーグルトやチーズ等の発酵性乳製品を与える
- 3-5. ⑤少量ずつ乳製品を与える
- 4. 乳糖不耐症の症状が改善するまで
- 4-1. 脱水症状に気を付ける
- 4-2. お尻のかぶれに気を付ける
- 4-3. 体重が増加しているか気を付ける
- 5. かかりつけ医と相談しながら上手に付き合っていきましょう
赤ちゃんや子どもの乳糖不耐症とは?原因や症状は?

はじめに、赤ちゃんや子どもの乳糖不耐症の原因や症状について見ていきましょう。乳糖不耐症には、先天性のものと後天性のものがあるので、この2つの特徴もそれぞれ紹介します。
乳糖不耐症の原因
乳糖不耐症の原因は、「ラクターゼ」という乳糖を分解する酵素の分泌量が少ないことです。赤ちゃんはラクターゼの分泌量が多いため、母乳やミルクを飲んでも乳糖を分解でき、お腹を壊すことはあまりありません。※2
一方、離乳食の時期を迎えると、ラクターゼの分泌量は減少していきます。人種によっても差はありますが、アジア系では90%以上の人が成長とともにラクターゼの分泌量が減っていくといわれています。日本人は大人でも「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」という方も多いでしょう。
乳糖は小腸で分解されますが、ラクターゼが少ないと乳糖を分解できず、腸管内の乳糖が水分を引き寄せることで、下痢を引き起こします。ほか、お腹がゴロゴロ鳴ったり、お腹がパンパンに張ったりする症状(腹部膨満)が見られることもあります。※2
①先天性乳糖不耐症
先天性乳糖不耐症は、生まれつきラクターゼが欠乏した状態のことです。先天性乳糖不耐症の赤ちゃんは、母乳やミルクを飲み始めるとすぐに水っぽい便が頻繁に出るようになります。便は酸っぱい臭いがするのが特徴です。
②二次性乳糖不耐症
二次性乳糖不耐症は後天的な乳糖不耐症で、ウイルスや細菌による急性胃腸炎がきっかけになることが多いです。胃腸炎によって腸の機能が低下し、一時的にラクターゼの分泌量が減ってしまうことで起こります。症状は先天性乳糖不耐症と同様に、水っぽく酸っぱい臭いのする便が出ます。
赤ちゃんや子どもの乳糖不耐症の診断

赤ちゃんや子どもに下痢の症状があると、「乳糖不耐症かもしれない」と心配になってしまう方も多いかもしれません。しかし、下痢は様々な原因で起こるため、乳糖不耐症だと判断するのは難しいものです。
ここでは、赤ちゃんや子どもが乳糖不耐症かもしれないと感じたときの対応について紹介します。
症状が出たら医師の診断を
赤ちゃんや子どもに下痢や胃腸炎の症状が出たときは、まず病院で医師の診断を受けることが大切です。母乳やミルクを与えてから30〜60分で下痢の症状が出るようであれば、乳糖不耐症の可能性があります。ただし、これだけで診断が確定するわけではないので、きちんと医師に診てもらうようにしましょう。
牛乳アレルギーとは異なる
牛乳を飲むと身体に異変が出る場合、乳糖不耐症ではなく牛乳アレルギーの可能性もあります。牛乳アレルギーと乳糖不耐症の違いは、症状の内容です。乳糖不耐症は下痢やお腹の痛み等が生じるのに対して、牛乳アレルギーは湿疹や喘息等の症状が出ます。※3
症状に違いがあるため、両者の区別はわかりやすいのですが、やはり医師の診断を仰ぎましょう。
また、牛乳アレルギーは幼児期に判明することが多く、血液検査でアレルギーの有無を調べて診断するのが特徴です。
なお、牛乳アレルギーと乳糖不耐症は原因にも違いがあります。乳糖不耐症は乳糖を分解できないことが原因であるのに対して、牛乳アレルギーは牛乳に含まれるたんぱく質にアレルギー反応を起こしてしまうのが原因です。
赤ちゃんや子どもの乳糖不耐症の対策

赤ちゃんや子どもが乳糖不耐症だと診断された場合、以下のような対策があります。※4
● 母乳・ミルクをやめてみる
● ラクトレスのミルクに変えてみる
● 乳糖分解酵素剤を飲む
● ヨーグルトやチーズ等の発酵性乳製品を与える
● 少量ずつ乳製品を与える
それぞれの対策について、以下で詳しく紹介します。
ただし、これらはあくまで参考例のため、具体的な対応については必ずかかりつけの医師の指示に従ってください。診断を受けていない場合は、まず医療機関を受診しましょう。
①母乳・ミルクをやめてみる
離乳食を始めているなら、母乳やミルクを与えるのをやめてみましょう。うどんやおかゆ、野菜スープやたまご等、消化の良い食べ物を与えるようにして、乳糖が含まれる乳製品を中止する方法です。
②ラクトレスのミルクに変えてみる
乳糖不耐症の赤ちゃんを対象とした、乳糖を含まないミルクが販売されています。医師に乳糖を控えるよう指示された場合は、ラクトレス等の母乳代替食品、大豆乳や加水分解乳といった商品を選んでみてください。
ラクトレスのミルクで乳糖不耐症の症状が落ち着いたら、医師や管理栄養士の指導に従いながら一般のミルクに戻していきます。
乳糖不耐症や牛乳アレルギーの赤ちゃんのためのミルクには、乳糖を除いたうえで発育に必要なビタミンやミネラル、たんぱく質等が配合されているため、栄養面の心配はありません。
上記のような乳糖を含まないミルクは医師や管理栄養士の指示のもと与えるように注意書きがされている商品もあるため、自己判断で与え続けるのはやめましょう。
③乳糖分解酵素剤を飲む
病院を受診して乳糖不耐症と診断されたら、乳糖分解酵素剤を処方されるケースがあります。薬が乳糖の分解を助けるため、下痢等の症状が落ち着きます。病院で乳糖分解酵素剤を処方されたら、用法・用量を守ってお子さんに与えてください。
④ヨーグルトやチーズ等の発酵性乳製品を与える
離乳食が始まっている幼児の場合、乳糖不耐症の症状が落ち着いたあとは、牛乳ではなくヨーグルトやチーズ等を与えてみてください。これらの発酵性乳製品は、製造過程で乳糖がある程度分解されています。そのため、母乳やミルクと比べて乳糖が少なく、乳糖不耐症のお子さまも下痢等の症状を起こしにくいという特徴があります。
⑤少量ずつ乳製品を与える
乳製品を少量ずつ摂取していると、酵素誘導が起こって乳糖不耐症の症状が軽くなっていく可能性があります。例えば、小学生から中学生にかけて給食で毎日牛乳を飲んでいると耐性ができるように、乳幼児でも同様の傾向が見られます。
ただし、繰り返しになりますが自己判断はせず、かかりつけの医師に相談しながら与える食品を選ぶことが大切です。
乳糖不耐症の症状が改善するまで

乳糖不耐症の症状が出ている間は、以下のポイントを意識してください。
● 脱水症状に気を付ける
● お尻のかぶれに気を付ける
● 体重が増加しているか気を付ける
どのような点に気を付ける必要があるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
脱水症状に気を付ける
母乳やミルクを控えることで、代わりのラクトレスミルクや食べ物を嫌がる赤ちゃんもいます。特に乳糖を含まないミルクは一般的なミルクとは味が違うので、思うように飲んでくれないケースも多くみられます。
母乳やミルクの代替品を赤ちゃんが嫌がる場合は、水分不足にならないように注意してください。白湯や麦茶等、赤ちゃんが飲みやすいものを与えて脱水症状を防ぎましょう。
お尻のかぶれに気を付ける
赤ちゃんが下痢をしている間は、お尻のおむつかぶれにも注意が必要です。尿や便が皮膚に触れている状態が長く続くと、赤みやかゆみ、ただれ等の症状が出ることがあります。
下痢をしているときの便は消化酵素が多く含まれていて、皮膚への刺激が強くおむつかぶれを起こしやすいのが特徴です。おむつをこまめに交換し、赤ちゃんのお尻を常に清潔な状態にしておくことが大切です。
体重が増加しているか気を付ける
下痢でたくさん水分が出ているときや、ミルクの代替品を嫌がっているときは、体重の増減もチェックしておきましょう。体重が減り続けている等、気になることがあれば、すぐにかかりつけの先生に相談するようにしてください。
かかりつけ医と相談しながら上手に付き合っていきましょう

乳糖不耐症は、乳糖を分解する酵素が不足することで、下痢等の症状を引き起こす疾患です。先天性のものと後天性のものがあり、それぞれ原因や症状が異なります。
適切な対応をおこなうことで、症状をコントロールし、健やかに成長することができます。不安な場合は、自己判断せずにかかりつけ医に相談し、適切なアドバイスや治療を受けてください。
ママとパパは赤ちゃんの状態をよく観察しかかりつけ医と連携を取りながら、適切なケアを継続していくことが重要です。焦らず赤ちゃんのペースに合わせて、ゆっくりと対処していきましょう。
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参考文献
- ※1 乳糖、ラクトース(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)
- ※2 乳糖不耐症(小児慢性特定疾病情報センター)
- ※3 「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」(長野県医師会)
- ※4 よくわかる! 乳糖不耐(一般社団法人Jミルク)
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