ミネラルウォーターで氷を作る!作ってはいけないとされる理由や作り方の注意点を紹介
飲み物に入れたり、食材を冷やしたりするときに使う氷は、自宅の冷蔵庫で簡単に作れるものです。特に冷たい飲み物がほしくなる季節には使う機会も多いため、「もっとおいしく作りたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。
氷を作るときに使うお水をミネラルウォーターにすれば、氷もおいしくなるといえます。しかしながら、「氷は水道水で作った方が良い」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。この記事では、ミネラルウォーターで氷を作るときの注意点を紹介します。
目次
氷は水道水とミネラルウォーターのどちらで作るべき?
氷を作るにはお水が必要です。日常生活の中で手に入りやすいお水といえば、「水道水」と「ミネラルウォーター」ですよね。まずは、自宅で氷を作るときにどちらを使うといいのかを解説します。
自動製氷機では水道水に含まれている塩素が大切!
市販されている冷蔵庫には、お水を入れておくだけで自動的に氷を作ってくれる「自動製氷機能」を備えている機種が少なくありません。このときに使うお水は「水道水」が指定されていたり、推奨されたりします。
その理由が、水道水に含まれている「塩素」の効果です。塩素は消毒の役目を担うもので、お水の中で雑菌が繁殖するのを防ぐ役割があります。氷は作ったらすぐに使うものではなく、さらに作るのにもそれなりに時間がかかります。塩素が含まれている水道水を使うことで安全な氷ができるのに加え、製氷機そのものの清潔さもキープできるというわけです。※1
水道水の氷はまずい?
「水道水で作った氷はまずい」と感じたり耳にしたりしたことがある人も多いのではないでしょうか。
塩素が含まれている水道水は、安全性や品質には問題がないものの、ミネラルウォーター等と比較すると「味がよくない」「まずい」と感じる人もいます。これと同じように、水道水から作られた氷を「においが気になる」「おいしくない」と感じても何ら不思議ではないでしょう。ただ、お水や氷の味は個人の感覚に大きく左右されます。すべての人が「まずい」と感じるというわけではありません。
ミネラルウォーターの氷はダメ?
市販されているミネラルウォーターは、水道水と違って塩素が入っていません。そのため水道水に比べると自動製氷機に雑菌等が発生しやすく、こまめなメンテナンスや清掃が必要です。
また、硬水のミネラルウォーターを使うと、お水の中に含まれるさまざまなミネラル成分が結晶化することで自動製氷機のホースを詰まらせ、故障の原因になることもあります。そうなると大がかりなメンテナンスが必要になることもあるため、注意が必要です。
浄水もミネラルウォーターと同じ
浄水器の内部にセットされている浄水フィルターには、水道水から残留塩素を除くはたらきがあります。そのため浄水フィルターを通したお水は雑菌等が繁殖しやすくなり、あまり日持ちしません。浄水器を通したお水で氷を作る場合は、水道水ではなくミネラルウォーターと同じだと考えておきましょう。※2
ミネラルウォーターで氷を作るときの注意点
氷はミネラルウォーターで作っても問題ありません。ミネラルウォーターを使って氷を作る場合の注意点を紹介します。
冷蔵庫の自動製氷機で氷を作るとき
製品によっては、水道水の水質管理目標設定項目と同等の硬度100mg/ℓ以下のミネラルウォーターであればミネラルの結晶化により詰まるリスクが少ないため、使用できるものもあります。
ただし、塩素が含まれないことから、ミネラルウォーターが水道水と比べて雑菌等が発生しやすいのは事実です。 こまめにメンテナンスをおこない、衛生面に気をつけていれば、自動製氷機を使っても問題ないとされています。
※推奨されない製品もありますので、必ず取扱説明書をご確認ください。
製氷皿で氷を作るとき
「自動製氷機をこまめにメンテナンスするのはやはり面倒くさい」…そんなときは製氷皿を使うのがおすすめです。製氷皿は冷凍庫から取り出して丸洗いができるので、自動製氷機と比べ、お手入れが格段に楽になります。
また、製氷皿は100円均一ショップでも手に入りますし、製氷皿専門のWebショップもあります。自動製氷機とは違い、ラインアップも豊富で丸い氷や大きい氷等、色々な種類の型が作れるので、自動製氷機とはまた違った楽しみ方ができます。
おいしくて安全な氷を作るには
飲み物に入れたり料理に使ったりする氷は、安全性が大切なのはもちろんのこと、なるべくおいしく作りたいものです。ここでは安全でおいしい氷を作る方法を解説します。
おいしい氷は透明!?
自宅でおいしい氷を作るためには、素材(ミネラルウォーター)にこだわるのはもちろんですが、その手順も大切です。
自宅で作った氷は、市販の氷と違って透明度が低く、白い氷になります。この白い部分は、ほとんどが水分中の空気や不純物です。
なぜ白くなってしまうのかというと、お水が外側から固まっていく過程で、含んでいた空気や不純物が内側に寄っていき、最終的に氷の中に閉じ込められてしまった部分が白く見えるのです。
こういった氷は純度も下がりますので、溶けやすく割れやすい上に味もやや落ちる仕上がりになります。
おいしい氷を作るポイント!
不純物の少ないお水を使う
ゆっくり凍らせる
3分の2程度が凍ったら残りのお水を捨てる
ミネラルウォーターや浄水器を通したお水を使えば、最初の段階で不純物が少ないので純度の高い氷が出来やすくなります。ただし、硬水はミネラル成分を多く含んでいるため、氷が白くなる原因になります。 透明な氷を目指すのであれば、軟水の天然水がおすすめです。
水道水を使う場合は、一度沸騰させて塩素を抜きましょう。
ただし、塩素が抜けると雑菌が発生しやすくなるため、ミネラルウォーターと同様でメンテナンスには気をつけましょう。
急速に凍らせて作った氷は、お水の分子が揃わずに隙間の多い氷になり、空気等の不純物を閉じ込めてしまいます。 そこでなるべくゆっくり凍らせることでお水に含まれる空気が抜ける時間を作ってあげると上手く固まります。
具体的な方法としては、冷凍庫の温度を上げたり、製氷皿が冷凍庫に直接触れないようにタオルで包んだり、製氷皿の下に割り箸等を置いて隙間を作ったりする方法があります。
前述したとおり、氷は外側から凍っていき、不純物が内側に集まります。 この特性を利用し、3分の2程度凍ったタイミングでまだ凍っていない残ったお水を思いきって捨てましょう。
こうして純度の高い氷だけを残すことができます。お水は一部を捨てるのを前提にたっぷりセットしてから凍らせましょう。
冷蔵庫の製氷機をメンテナンスする際は、製品の説明書に従ってこまめにおこなうようにしましょう。製氷皿もお水を注ぐ前に必ず洗えば安心ですね。
ミネラルウォーターで作った氷の賞味期限
氷は使うたびに作るというよりも、あらかじめ作っておいて必要な分だけ使うという人が多いのではないでしょうか。目に見えて傷むものではないとはいえ、作ってからどのくらいで使い切ればいいのかが気になりますよね。ここでは氷の賞味期限について紹介します。
お手入れが重要
氷には明確な賞味期限がありません。どの程度日持ちするかは、氷を作るときの環境(給水タンクや製氷機の内部、製氷皿の状態、お水の種類等)によって左右されます。タンクや製氷機に汚れがたまった状態では、氷の衛生状態も悪くなってしまうのはいうまでもありません。おいしくて安全な氷を作るには、定期的に製氷機や製氷皿のお手入れをしましょう。
ミネラルウォーターの氷は早めに使う
水道水の場合、「塩素の消毒効果は、直射日光を避けて常温で保存すれば3日程度、冷蔵庫で保存すれば10日程度持続します」とされています。※3
このことから、水道水で作った氷も10日前後で使い切ることを目安にするとよいでしょう。
ミネラルウォーターの場合は、口をつけずに飲んだものでも、常温であれば当日中に飲み切ることが推奨されています。冷蔵庫へ入れるとしても、封を開けた状態では2~3日以内に消費するのが望ましいとされているため、氷も3日前後で使い切ることを目安にしておきましょう。
氷は腐る?カビも?!
1990年前後の冷蔵庫に搭載されていた自動製氷機能では、「黒いカビのようなものが付着する」といった相談が国民生活センターへ寄せられることが少なくありませんでした。※4
これは一見すると、氷がカビたり腐敗したりしたようにも見えますが、そもそも「氷を作る過程でお水が空気に触れる」「掃除がしにくい」等、氷を作るための環境がことから起こっていたトラブルです。現在は各メーカーで自動製氷機の部分に改良が加えられているのに加え、ユーザーにメンテナンスを促しています。
専用の設備を使って生産されている市販の氷(ロックアイス等)には、消費期限がありません。氷は家庭の冷蔵庫でも手軽に作れますが、その場合は給水タンクや製氷皿等のお手入れをしっかりおこなうようにしましょう。
「お水は生もの」。生鮮食品と一緒の意識を持とう!
お水は私たちの生活に欠かせないものです。日本ではどこにいても安全なお水が手に入りやすく、お水やお水を使って作る氷の賞味期限を意識することは少ないでしょう。とはいえ、開封したり汲んだりしてから時間が経てば、お水も傷んできます。水道水もミネラルウォーターも、早めに消費することが求められる「生もの」という意識を持っておきましょう。
お水や氷を長持ちさせるには、何よりもお水が触れる部分を清潔に保つことが大切です。自動製氷機能に水道水を使うことが推奨されているのは、含まれる塩素によって清潔さをキープしやすいからだといえるでしょう。ただ、いくつかの注意点を守れば、家庭でもミネラルウォーターでおいしい氷を作ることが可能です。氷を安全においしく作りたいときに、ぜひ挑戦してみてください。
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参考文献
- ※1 ゼロから理解する水の基本(監修千賀裕太郎/2013)
- ※2 その9「浄水器」を使っているんだけど、使う時に注意することは?(千葉県営水道)
- ※3 くみ置く際の留意事項(東京水道局/2013)
- ※4 「冷凍冷蔵庫の氷にカビ」にご注意(情報提供)(国民生活センター相談部)
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