淹れたコーヒーを「おいしい!」と言わせるのは実はお水?!
家で過ごすことが増えてきている昨今、「コーヒーにもっとこだわりたい」、「自分好みのコーヒーを見つけたい」という人が増えているようです。そんなときには、豆の種類や産地を確かめることも多いのではないでしょうか。
しかし、コーヒーの約99%を占めるのはお水です。見逃されがちですが、 コーヒーのおいしさの秘訣は「お水」にあるといっても過言ではありません。お水が変わればもちろんコーヒーの味も変わります。今回はお水の視点からコーヒーをさらにおいしくお楽しみいただく方法を紹介します。
目次
コーヒーの味は「焙煎×お水」で決まる!
豆の品種、豆の挽き方、入れ方そして焙煎。コーヒーはそれら全てが絡み合って複雑な味わいを生み出しています。その中でも特に風味の違いが表れやすいのが焙煎です。まずは焙煎の種類とお水の組合せについて紹介していきます。
焙煎の種類
焙煎度は、全部で8段階に分かれています。※1
焙煎の種類と特徴は図のとおりです。
飲み方によって適切な焙煎度合いが異なります。 一般的に、浅く炒ったのものほど「酸味」が強く、深く炒るほど「苦味」が強く出るようになります。これは、生豆に含まれている様々な成分によって、コーヒーの色や味、香りに変化が出るためです。 例えば、缶コーヒー等に表示されている深煎りとは、苦みや香りが強く、カフェインの量が少ない焙煎方法のことを指します。このように焙煎について知っておくだけでもお気に入りの焙煎度合いを見つけやすくなります。
コーヒーをおいしく飲むためのお水
コーヒーの味に特に影響を与えるのはお水の硬度です。 一般的に硬度の低いお水を軟水、硬度の高いお水を硬水と呼びます。その違いは簡単にいうと水分中のミネラル含有量(主にカルシウムとマグネシウムの合計)です。※1
WHO(世界保健機関)の基準では、お水1ℓに対してカルシウムとマグネシウムが120mg/ℓ未満が軟水、120mg/ℓ以上が硬水とされています。WHO(世界保健機構)による水の硬度の基準値を表であらわすと以下のようになります。
WHO(世界保健機構)による水の硬度の基準値
種類 | 硬度 | |
---|---|---|
軟水 | 軟水 | 0~60mg/ℓ未満 |
中硬水 | 60~120mg/ℓ未満 | |
硬水 | 硬水 | 120~180mg/ℓ未満 |
超硬水 | 180mg/ℓ以上 |
- 硬度の計算式=カルシウム(mg/ℓ)×2.5+マグネシウム(mg/ℓ)×4.1※1
実は、このお水に含まれるミネラル分がコーヒーの成分に大きな影響を与えているのです。 それでは、それぞれの水の特徴をご紹介しましょう。
軟水で入れたコーヒーの特徴
コーヒーの成分は水分中のミネラルに反応しやすく、ミネラル分の少ない軟水はコーヒーの味に影響を与えにくい特徴を持っています。そのため、コーヒーそのものの香りを楽しむことができます。
特に苦味成分への影響が少ないので、酸味が引き立った爽やかな味に仕上がります。
つまり、コーヒー本来の味をマイルドかつ素直に引き出したいのであれば軟水を選ぶのが良いです。※2
硬水で入れたコーヒーの特徴
カルシウムとマグネシウムはコーヒーの成分に反応しやすく、香りにも味にも大きな影響を与えます。ミネラル分の中でもマグネシウムの影響は特に大きいです。
ミネラルはコーヒー特有の苦味や渋味を引き出す特性があり、苦味の引き立った刺激的な味に仕上がります。軟水と比べコーヒーの味に影響を与えやすく、水の自己主張が強くなるのが硬水の特徴です。
また、意外と知られていないのがカフェインとの関係です。 一般的に苦いコーヒーの方が眠気に良く効き、カフェイン量も多いのでは? と考えがちですが、硬水に多く含まれるカルシウムやマグネシウムには、カフェインやタンニンといったコーヒーの主成分の抽出を妨げる特性があります。つまり、「眠気覚ましにカフェイン多めのコーヒーが飲みたい!」 というとき、化学的には軟水を使った抽出が正解です。
コーヒー本来のナチュラルな香りを求めるなら軟水、焙煎の香ばしい香りをより楽しみたいのであれば硬水がおすすめです。 お水一つで楽しみ方が選べるのもコーヒーの魅力ですね。
お水の特性まとめ
実はお水の硬度以外にもコーヒーの味に影響する要素があります。 それは、「抽出時の温度」です。
コーヒーを抽出するお水の温度は、高温になるほど苦味が強く、低温であるほど酸味が強くなります。※2
これは苦味や渋味の成分が低温だと溶け出しにくいためです。
またカフェインの抽出にも温度が大きくかかわっています。カフェインは低温のお水には溶けにくい性質があるため、水出しコーヒーだと含有量が低くなりまろやかな味を楽しみやすくなります。
以上を踏まえて、お水の特徴を図にすると以下のとおりです。
つまり、軟水は浅煎り豆の酸味をより強く、硬水は深煎り豆の苦みをより強く引き出す相関性が見えてきます。逆に、深煎り豆を軟水で抽出すれば、バランスのとれた味わいに仕上げることもできます。こういったバランスを自分なりに変えていけるのもコーヒーの楽しみ方のひとつです。
コーヒーの適正温度は?
お水の温度はコーヒー成分の抽出具合を大きく左右するため、入れる際は適正温度もチェックしてみてください。
一般的な適正温度は90℃前後といわれています。グツグツ沸騰したばかりのお湯はコーヒーの雑味を引き出してしまうため、少し冷ましてから入れましょう。
ただし、温度によって変化する味わいを感じるのも楽しみのひとつです。お湯の温度が高くなるほどコーヒーの酸味が出やすく、苦味は弱くなります。
またコーヒーの入れ方によっても適温が異なるため、おいしくコーヒーを入れたいときは以下の表も参考にしてください。
コーヒーの入れ方 | 適温 |
---|---|
エスプレッソ | 98℃ |
ドリップ式扇形フィルター | 95℃前後 |
ドリップ式扇形フィルター | 95℃前後 |
ドリップ式円錐フィルター(3~5杯分) | 93~95℃ |
コーヒーメーカー | 93~95℃ |
ドリップ式円錐フィルター(1~2杯分) | 90℃前後 |
サイフォン | 85~90℃ |