日射病と熱中症、熱射病の違いとは?予防対策も解説
暑い時期になるとニュース等で熱中症の話題を耳にしない日はありません。
熱中症に似たイメージのある日射病や熱射病ですが、違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では熱中症と日射病、熱射病との違いや対策について解説していきます。
目次
熱中症と日射病、熱射病の違い
まずは熱中症と日射病、熱射病の違いについて解説します。文字の意味が似ているので混同しやすいのですが、違いを理解すれば難しいことではありません。
熱中症
暑さや湿度によって体温が上がる、体内の水分や塩分バランスが崩れる、体温調節機能が働かない等が起こり、頭痛やめまい、けいれんといった、さまざまな症状が生じることを熱中症といいます。※1
日射病
日射病も熱射病と同様に、重度の熱中症のことを指します。違いは、太陽の光が熱源となっているかどうかです。
日射病は、長時間屋外での運動をする等、直射日光を頭や首筋等に受けた場合に起こります。つまり、日射病は太陽光を原因として重症の熱中症を起こした状態です。※2
熱射病
熱中症は重症度によって、軽症、中等症、重症の3段階に分けられます。呼びかけへの反応がおかしい、意識がない、けいれんしている、手足の運動障害がある、高体温等の重症の場合を、熱射病といいます。
つまり、熱中症の中でも重症の状態を熱射病と呼んでいます。※1
熱中症や日射病とは?
熱中症はときには命を落としてしまうこともある深刻な病気です。
頭痛や発熱、めまい、けいれん等、熱中症が原因で起こる症状も様々。ここでは熱中症になる仕組みや日射病について解説します。
熱中症について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
熱中症になる仕組み
私たちは体温を36〜37℃の狭い範囲で維持するように調節している「恒温動物」です。
この体温を保つのは、生命維持のための代謝や酵素の働きに最適な温度だからです。常に熱は作られているのですが、異常な体温上昇を抑えるため、効率的な調節機能を備えています。
気温が上がると自律神経を通じて末梢血管が拡張します。これは皮膚に多くの血液を流して外気へ熱を伝え、体温を下げるためです。さらに、汗が蒸発する気化熱によって体温を下げています。
これらの働きは自律神経によるものですが、うまく対処できなければ熱の産生に熱の放散が追いつかず、体温が上昇して熱中症の原因となります。※3
日射病、熱射病とは
3段階ある熱中症のうち、重症に当たるのが熱射病です。熱が体内にこもり放散できない状態で、日差しのない室内や炎天下の車内でもかかります。冬でも暖房の効いた部屋で必要以上に着込んでいると起こることがあります。
熱射病のうち、原因が太陽光であるものを日射病と呼びます。長時間の外での運動等、直射日光を頭や首筋に受け続けるとかかりやすくなります。※2
炎天下のスポーツや労働によって汗を大量にかき、体内が水分不足になると、心臓へ戻ってくる血液が減少して心臓が空打ちをします。この状態は、いわゆる「脱水状態」になっているため、まずは十分な水分補給が必要です。
万が一日射病で倒れたら、すぐに涼しい場所に移動させて、お水や経口補水液等を飲ませ、頭を少し高くして休ませましょう。意識がない、けいれんが起きている等、重症の場合はすぐに病院へ運んでください。※4
熱中症や日射病になりやすい人
総務省の資料によると、令和5年5月から9月の熱中症による救急搬送は91,467人にのぼります。これは平成20年の調査開始以降、2番目に多い人数であり、前年同期間の救急搬送71,029人と比較しても2万人以上増えていることになります。
熱中症は誰にでも起こる可能性がありますが、特に高齢者は注意が必要です。同資料によると、令和2年の熱中症で救急搬送された人のうち、65歳以上の高齢者が54.9%を占めています。※5
また小さな子どもも体温調節機能が未発達なので、熱中症にかかりやすいといえます。特に幼い子どもは自分で水分補給をしたり、不調を訴えたりできないので、周囲の大人の配慮が大切です。
熱中症や日射病を予防するために
近年は地球温暖化の影響から、夏の異常な気温上昇だけでなく、春や秋でも気温の高い日が続くことがあります。熱中症や日射病は命に関わることもありますが、予防法を知っておけば重症になる前に対処できます。
屋外での活動を避ける
日本では7月と8月に熱中症が多発しています。特に午後2時から5時の間の発生が多く、屋外での活動には注意が必要です。
この時間帯は気温も高くなり、炎天下で活動すると脱水とともに疲労も溜まってしまいます。日差しが強く気温が高い日には、極力屋外での活動は避けるようにしてください。
屋外での活動は、日差しが弱まり気温も下がる朝や夕方におこなうのが望ましいです。この時間も、帽子や日傘、パラソル等を活用し、直射日光を浴びないように工夫しましょう。帽子は熱がこもりやすいため、時々外して汗を蒸発させます。
どうしても炎天下で活動しなければならない際には、直射日光を避け、涼しい場所で定期的に休憩しましょう。紫外線の浴びすぎも身体への影響があるため、長時間の直射日光は避けましょう。
こまめに水分を補給する
熱中症を防ぐには、汗で失われる水分と塩分の補給が重要です。大量に汗をかいた場合には、水分と一緒に塩分も失われるため、お水と一緒に塩分も摂りましょう。
ただし、カフェインが含まれた飲料やアルコール飲料は利尿作用があるため、脱水を悪化させるリスクがあります。カフェイン飲料やアルコール飲料は水分補給にはならないことを覚えておいてください。
また、多量の糖分を含むジュース等の清涼飲料水は、大量に飲むと下痢を引き起こして脱水症状となる可能性があります。一気にたくさん飲むのは避けた方が良いでしょう。冷たい飲物も腹痛や下痢を引き起こすリスクがあるため控えたほうが良いといえます。
塩飴と合わせて常温のお水やミネラルウォーターを飲むか、経口補水液で水分補給してください。
通気性のよい服を着る
暑い季節には、熱がこもりにくい素材を選ぶと熱中症対策になります。できる限り着る枚数を少なくし、軽く明るい色で、身体を締め付けないデザインのものが良いでしょう。通気性が良く、熱が逃げやすい素材としては、綿や麻等がおすすめです。
近年はクールビズが浸透し、夏にはノーネクタイの企業も増えていますが、どうしてもYシャツやネクタイを着用しなければならない場合には、首周りを締め付けないようにして通気を確保してください。首周りをゆるめることで胸元の熱気が抜けやすくなり、不快感を軽減できます。
通気性が良く涼しい服を着ることは、熱中症予防だけでなく、猛暑の原因となる地球温暖化の防止にも役立ちます。※6
日差しを避けて、こまめな水分補給を
重症の熱中症が熱射病、この熱射病のうち太陽が原因となるものが日射病です。すべて熱中症に含まれる病気ではありますが、重症度と原因によって呼び方が異なっています。
命に関わることもある熱中症や日射病ですが、対策の基本はこまめな水分補給です。
ただし、コーヒーや紅茶等のカフェインを含む飲料やアルコール飲料は利尿作用があり、水分補給にはなりません。また、清涼飲料水は糖分の摂り過ぎに注意が必要です。しっかりと適切な対策で、猛暑の夏を元気に乗り切りましょう。
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参考文献
- ※1 熱中症について(公益社団法人 全日本病院協会)
- ※2 えいよう通信(獨協医科大学病院 栄養部)
- ※3 熱中症とは何か(環境省)
- ※4 日射病と熱射病(鹿児島県医師会)
- ※5 令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況(総務省)
- ※6 熱中症(熱射病、日射病)を予防しましょう(横浜市)
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