水がコーヒーの味を98%決める!?出会うべくして巡り合った組み合わせ
ー今回、プレミアムウォーターのオリジナルコーヒー開発の依頼があった際はどのような心境でしたでしょうか?
実はものすごく嬉しかったんです。理由は二つあって、一つはオファーをいただいたブランドが、日本の天然水のブランドを持つウォーターサーバーメーカーだったことです。コーヒーは軟水との相性が非常に良いんですよね。もう一つは、僕自身もプレミアムウォーターを愛用しているユーザーであったということです。普段から愛用しているブランドから声をかけてもらえたことはとても嬉しかったですね。
ー石井様自身もユーザーだったんですね!石井様が思うプレミアムウォーターの特徴はどんなところだと感じていますか?
実はコーヒーって、あんなに黒い色をした飲み物なのに、コーヒーの成分そのものから出る黒さや味わいはわずか2%と言われています。残りの98〜99%は水のクオリティでコーヒーそのものの味わいが決まるんですよ。それくらいコーヒーにとっては、水は大事な存在なんです。水の水質や条件によって、コーヒー豆本来の魅力やポテンシャルの引き出され方が大きく変わってくるのです。その点でプレミアムウォーターは、コーヒーを淹れた時のコーヒー豆のポテンシャルを最大限引き出してくれるのが大きな魅力だと考えています。もちろん、水道水や市販の500mlのミネラルウォーターでもでもおいしく淹れることはできますが、やはりコーヒー豆本来の魅力を最大限楽しめるのは、プレミアムウォーターだからこそだと考えています。
「コーヒー嫌いの人に届けたい」から始まった商品開発。“黒くて苦い”を覆す一杯の誕生秘話
ーそんな石井様のコーヒー作りにおいても欠かせない存在であるプレミアムウォーターと共同開発をおこなった「オリジナルコーヒー」についてお聞かせください。ずばり、どんなコーヒーなのでしょうか?
コスタリカの「ラスラジャス」という豆を使用した、果実味の強い味わいが特徴のコーヒーを開発しました。「ラスラジャス」とは、ベリー、ラズベリー、ブルーベリーのフレーバーで果実味が強くて、後味がふわーっと香るのが特徴で、国内ではなかなか流通していない希少な豆です。ですので、この豆を使ったコーヒーが飲めるというだけでもひょっとしたら、価値のある一杯になるかもしれません。
ー希少な豆を使用したコーヒーが飲めるというだけでもかなり興味がそそられますが、今回のその「ラスラジャス」という豆を使用することになった理由はあるのでしょうか?
今回、お話をいただいてからすぐに「コーヒーが苦手な人」をターゲットにして開発しようと心に決めていました。そこからコンセプトのようなものはすぐに固まり、「これ本当にコーヒーなの?」と思えるようなコーヒーを開発しようと考えていました。そこでアイデアとして浮かんだのが、「黒くて、苦くて、飲みすぎると胃もたれがする飲み物」という、皆さんがコーヒーに抱いているイメージをガラッと変えたいなと。そこで、“果実味溢れたジューシーさ”と“フルーティーな甘さ”を兼ね備えた香り高いコーヒーなら、イメージを変えられるのではないかとたどり着きました。そのコンセプトに合致する豆が、この「ラスラジャス」という豆でした。さらに今回は、脱穀して、果肉をつけた状態で天日干しをするという、「ハニー」という精製方法を選択することで、より果実味が強い印象を持たせることができ、香り豊かでユニークな一杯にできるというのも魅力的なポイントでした。
ーこの「ラスラジャス」というコーヒー豆に決めるまでにどれくらいの豆を選定されたのでしょうか?
コンセプトが決まってから、「果実味溢れるジューシーでフルーティーなコーヒー」を目指すにあたって、約30〜40種類近くのコーヒー豆から選定をおこないました。今回はインパクト重視で、ダントツわかりやすくフルーティーで、苦いとか黒いといった従来のコーヒーのイメージからかけ離れたものに仕上げられることが決め手でした。また、プレミアムウォーターとの相性が良かったことも後押しになりましたね。
焙煎こそがプロの腕の見せ所。職人気質なオーナーのこだわりとは?
ー「オリジナルコーヒー」の開発にあたってこだわったポイントや苦労されたポイントもお聞かせ願えたらと思います。今回の商品開発ではどんなところにこだわったのでしょうか?
先ほど30〜40種類の豆から選定したという話をしましたが、一番こだわったポイントは焙煎です。やはり、今回のようなご自宅などで楽しむコーヒーは、最終的に淹れるのはお客様なのでご家庭でも世界の味が楽しめるような焙煎がしたいなと、これも開発段階から思っていました。僕たちしか淹れることのできない難しい味わいではなく、家庭でもお店で飲んでいるような本格的な味わいがしっかりと楽しめる焙煎に仕上がっていると思います。
ー焙煎がしっかりされていると、どんな人が淹れてもお店で飲むような本格的なコーヒーの味わいや風味が家庭で楽しむことができるのでしょうか?
使用する豆の量(グラム数)と水量、温度。この3つの比率を間違えなければ、どんなお客様でもおいしいコーヒーを楽しんでいただくことができると思います。豆ごとにこの3つの比率の黄金比が存在していて、普段店舗でご購入いただくお客様にはその黄金比をレシピカードにしてお渡ししています。ルールさえ守っていただければ大丈夫です。
ーコーヒーにも黄金比があるんですね!今回のコーヒーのように、焙煎にこだわりをお持ちの石井様が運営されている『LEAVES COFFEE ROASTERS』では、1950年代のかなりオールディーな焙煎機を使用されていると伺いました。今回も「オリジナルコーヒー」もこちらの焙煎機を使用されたのでしょうか?
もちろんです。実は、昔の鉄と今の鉄では素材が若干違っていて、昔の鉄の方が蓄熱性が高いと言われているんです。蓄熱性が高いということは、僕たちのコーヒーづくりにおいては、ものすごくポジティブで、目指している甘さとフルーティーさに近づけることが容易になり、味作りがしやすくなるということがわかったんです。そこで、1950年代の『プロバット』というドイツ製の焙煎機を自主輸入したという経緯があります。焙煎機は自動化ができなくて全てマニュアルな作業なんですが、蓄熱性が高いことで温度コントロールが容易になるんです。温度帯の変化が少ないことでより質の高いコーヒーを製造することができています。
ー昔の焙煎機の方がかえって、最新鋭の機器よりもクオリティの高いコーヒーが生まれるというわけですね。ただ、一方で最近ではコーヒーショップも増え、最新鋭の機器を備えたロースタリーも増えたように感じますが・・・
先ほどは鉄の話をしましたが、時代とともに素材の質は落ちても、機械や素材に対する知識は年々向上していますよね。今の素材が昔の50%の品質だったとしても、知識のシステムや機械を動かす方法のレベルが上がっているので、カバーできているという現状はあると思います。知識でカバーすることで、ひょっとしたら、最新鋭の機器に頼った方がおいしいコーヒーに仕上がる可能性もあるかもしれませんし、そのコーヒーを好まれる方もいると思います。でも、僕たちは本当にいいものを「職人気質が作るコーヒー」として現代に再現したかったんですよね。“最新鋭の機械で最新の技術で出すコーヒー”というよりは、昔からある焙煎機を使って、最新鋭の機器では作れない味を出すということに取り組みたかった。先ほど話に上がったコーヒーの黄金比だったり、焙煎機だったり、些細なこだわりかもしれませんが、そこに少しでも魅力を感じていただけたら、すごく嬉しいですね。
飲みたい時に飲みたい場所で。あなたなりの特別な一杯でありたい
ーこれまで、商品開発にまつわる石井様のこだわりを随所に感じてきました。そんな今回の「オリジナルコーヒー」はどんな時に飲むのがオススメですか?
色々考えたんですが、どんなシーンにもピッタリだと思います。リラックスしたい時でも、朝起きた最初の一杯でも。お食事にも合わせやすい一杯だと思います。いつでも、どこでも楽しめるということも意識したポイントだったので、飲みたい時に楽しく飲んでもらえると嬉しいですね。
ー自宅で一層おいしく楽しむにあたり、気をつけるべきポイントはございますか?
やはり比率ですね。使用する豆の量に対する水量の比率ですね。比率を間違えてしまうと、過抽出と言って、出て欲しくない成分が出てしまったり、ウォータリーと言って、コーヒーが薄くなってしまう現象が起きてしまいます。一方で、水の量が少なかったりすると、未抽出といって、成分が抽出できていない状態になってしまいます。コーヒーの黄金比さえ守ってもらえたら、間違いないと思います。
ーありがとうございます。では、今回のオリジナルコーヒーと併せて楽しんで欲しい料理がありましたらお聞かせください。
ぜひ、パンと合わせてもらいたいですね!パンとコーヒーの組み合わせは夫婦と例えられるくらい相性がいいので、トーストから惣菜パンまで何にでも合うと思います。 あとは、カレーもコーヒーとの相性がめちゃくちゃいいですね。欧風でもインド系でもOKです。コーヒーの普段とは違った味わいや表情が楽しめると思います。食べ合わせによって異なる印象が楽しめるのもコーヒーの魅力の一つです。
ーそれでは最後になるのですが、石井様にとって、コーヒーを楽しむ瞬間はどんな時間ですか?
僕にとってコーヒーは生活の一部なんですよね。気づいたらコーヒーを淹れているみたいな。もう日常に溶け込み過ぎていて、食べる、寝る、息をするのと同じレベルの感覚です。僕にとってコーヒーは、日常と非日常を繋いでくれるコンテンツだと思っているので、時間という括りではなく、どんなシーンにでも隣にいてくれる相方みたいな存在ですね。ただ、コーヒーはどんなシーンにも料理にも合う飲み物なので、「オリジナルコーヒー」を通して、多くの方にコーヒーの魅力を知ってもらい、それぞれの楽しみ方を見つけてもらえたら嬉しいなと思います。
Information
LEAVES COFFEE ROASTERS(リーブスコーヒーロースターズ)
- TEL:03-5637-8718
- 営業時間:10:00~18:00
- 住所:東京都 墨田区 本所 1-8-8
- 定休日:火~金曜日(祝日を除く)
- ホームページ:https://leavescoffee.jp/